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WORKSHOP

【E CROSS TALK REPORTS vol.08】
個人でできるメンタルヘルス対策と組織のフォロワーシップコミュニケーションを考える

こんにちは!
今回は8月2日に開催した「個人でできるメンタルヘルス対策と組織のフォロワーシップコミュニケーションを考える」の内容を抜粋してお届けします。

講師は健康経営エキスパートアドバイザーであり柔道整復師、さらに会場であるE CROSS PARKではコミュニティマネージャーとしても活躍する丹後 友里氏。
IT業界は技術の発展が目覚ましい反面、体や心の健康についての悩みや問題を抱えがちですよね。
どんなバックグラウンドを持つ方でも個性を発揮でき、よりIT業界を発展させるためにも、メンタルヘルスのケアは不可欠!
弊社の深嶋氏のそんな想いから「個人でできるメンタルヘルス対策と組織のフォロワーシップコミュニケーション」をテーマのワークショップを開催しました。

自分のことなのに意外とわからない「メンタル」のことや、組織内でみんなが心地よく過ごせるような活性化・不調者への対応などについて学んだ90分のレポートです。
ぜひ最後までご覧ください!

講師プロフィール

丹後 友里

丹後 友里(Yuri Tango)

ライフデザインファシリテーター

Facili-port

健康経営エキスパートアドバイザー。
柔道整復師として機能訓練特化デイサービスや整骨院など医療福祉の分野に身を置くも『人生100年時代の労働環境における心身の健康』を保持するには業界に留まるだけでは難しいと考え、HR領域に転職。
その後、個人事業主として個人向けに心身の健康づくりサポートを、企業向けに本質的かつ企業独自の形で推進できる健康経営の実行支援(社内環境分析・ワークショップ・個別指導)を行う。


□健康経営とは?

 

今回のワークショップテーマは『健康経営』の取り組み項目にある「組織の活性化(コミュニケーションの促進)」「メンタルヘルス不調者への対応」について紹介します。

 

そもそも「健康経営」とは「従業員の健康管理を経営的視点で捉え、戦略的に実践する経営手法」のこと。簡単にいえば従業員の健康増進のためにかかる支出を、コストではなく「経営的な投資」として前向きに捉えるという考え方です。

健康経営によって従業員の活力向上や生産性の向上、企業の業績の向上につながることもあるといわれています。さらには従業員の健康へ尽力しているというポジティブな印象は、企業イメージの向上にも効果があるとされているんです。

では「健康経営」とは何をするのでしょうか。

健康というと「食生活の改善」や「運動の取り組み」などが思いつきますが、それだけではありません。『どんな事情があろうとも、従業員が安心して働くことができ、かつ事業を成長させていける職場』の構築を目指します。

 

「メンタルを病む」とは?

ところでみなさんは「メンタル不調」と聞くと、どんなものがあると考えますか?またはどんなこと・状態を想像しますか?

医学的にいわれる「精神疾患」とは「精神機能の基盤である心理学的・生物学的・発達過程の機能障害によってもたらされた「認知機能」「情動制御」「行動における臨床的に意味のある障害」によって特徴づけられる症候群」とされています。

それぞれ普段の生活や仕事にも関わる、脳の情報処理や感情などのコントロールに影響を及ぼすとされています。

 

これらの機能や制御に支障がある状態は、さまざまな精神疾患がともなうこともあります。

具体例としてそれぞれ代表的な精神疾患がありますが、この機能が低下したから必ずこの病気になるというわけではありません。

たとえば「認知機能」にある統合失調症や「情動制御」にある強迫性障害が「行動における臨床的に意味のある障害」にも当てはまるように、相互作用があり複雑に絡み合いながら影響を与えるといわれています。

 

「シナプスの不具合」が関係している?

最近脳科学者の間で、心の病の原因の一つとして注目されているのが「シナプスの不具合」です。

シナプス不具合は体の調子の悪さだけではなく心理学的要因や、社会環境がもたらす影響などが複雑に絡み合い、誰にでも起きる可能性があるといわれています。

そのため疾患を持っている人だけではなく、周りの人も正しい理解と共感が欠かせません。思いやりのあるコミュニケーションを取り、進むべき道を柔軟に模索していく必要があるんです。

精神疾患は「心が弱いから病気になった」と思われがちですが、心の弱さは直接的な原因ではありません。

体質や遺伝、環境の変化で誰もが精神疾患になり得ると知っておきましょう。

また一時的な気分の落ち込みは、精神疾患とは言えないとされています。

精神疾患というのは、気分が落ち込んだ状態が長期間続き、日常生活や仕事などに重大な悪影響を与えてしまい、さらに病院を受診して初めて「精神疾患」と診断されるのです。

 


□個人でできるメンタルヘルス対策とは?

 

誰もがなるかもしれない精神疾患ですが、防げるものは防ぎたいですよね。

個人でできるメンタルヘルス対策は何かないのか?という方には「生活習慣を整える」ことと「物事の捉え方を工夫する」ことをおすすめします。

 

脳が正しく働くように生活習慣を整える

まずは生活習慣を整えることについて解説していきます。

病気治療の一環として生活習慣を整えることを「生活臨床」や「生活療法」といいます。メンタルヘルスの不調は、生活習慣の乱れから情報処理や感情の認知調整を行う脳が正常に働かなくなり、異常が起きてしまうと考えられています。

そのため「異常が起きているところを正常に動くようにするためには、原因の一つでもある生活習慣を整える」という考えのもと、治療を行うのです。

 

これは私の持論ですが「健康な体には健全な精神が宿る」は逆にもいえると思っています。「健全な精神があれば、健康な体になっていく」。生活習慣を整えることで、メンタルにも良い影響が出ると思っています。

 

では生活習慣を整えるためには、何をすればいいのでしょうか。具体的に行うのが、以下のものとされています。

  • 規則正しい生活(起床〜就寝時間を一定にする)
  • 栄養価の高い食事
  • 適度な運動
  • 充分な睡眠

これらをベースに普段の生活すべてに目を向け、一人ひとりの症状に合わせて改善していくのが重要とされています。

特に生活を整えるために欠かせないのが「食事」「運動」「睡眠」です。

この3つのそれぞれが、先に述べた精神疾患の原因改善にもつながる要素を持っていることに気が付いたでしょうか?脳の活動のサポートやメンタルケア、疲労回復などに繋がっていると考えられているんです。

 

では生活習慣を改善するときに、何を直せばいいのでしょうか?

正解は全部です!

 

でも突然すべてをガラリと変えるのは難しいですよね。改善のコツは『行動を連環』させること!連環とは、何かと何かをつなぎあわせていくことです。

 

たとえば「疲労」という不調を解消するためにこのような行動をとったとします。

朝起きて、バナナとヨーグルトを買いにコンビニへ行く→バナナヨーグルトを食べる

何気ない行動に見えますが、実はこれらをつなげて行うことで生活習慣に繋がっているんです。

 

コンビニへ行く→運動&日光を浴びる

疲労やメンタルの改善には「幸福ホルモン」とも呼ばれるセロトニンをたくさん作ることが大事といわれています。セロトニンは、日光を浴びることで体内に増えることがわかっているため、朝15分日光に当たるのがオススメ。さらにコンビニに行くことで、散歩という運動の要素も加わります。

 

バナナヨーグルトを食べる→食事によって栄養素を摂取

実はバナナに含まれるトリプトファンは、日中にセロトニンに変わり、夜になると睡眠を促すメラトニンに変化することがわかっています。感情をコントロールしやすくなると同時に睡眠の質が向上し、メンタルケアの効果があるとされているんです。

このように「コンビニに行く+朝食を摂る」という行動をつなげ、毎日少しずつ行うことが、体や心のケアにも効果があるとされています。「週に2回ジムに行っているから運動はOK」ということでは、残念ながらありません!

 

疾患や症状を抱えたままだと損失につながるかも!

ここまでは個人でできるメンタルヘルスについて考えてみました。それでは個人の精神疾患が、会社経営にどのように影響を与えるのかを考えてみましょう。

健康経営の大きな障害となりえる「プレゼンティーイズム」という考え方があります。

プレゼンティーイズムとは「出勤はしているが何らかの疾病や症状を抱えているため、業務遂行能力や生産性が低下している」状態を指します。

たとえば肩こりがひどくて集中できない、頭痛が酷くて仕事をするのがつらいなどの状態です。身近にありそうな問題ですよね。

しかしプレゼンティーイズムがもたらす損益は、実は休職者が発生するよりも圧倒的に割合が多いんです!なんと休職者が発生した損益の17倍にものぼるのだとか。

たしかに集中できないことによってミスが起きたり、判断力の低下によって生産効率が下がってしまったりするのは、会社の損益になりますよね。

従業員一人ひとり健康管理をしっかりし、体も心も整えて好きなこともできる状態にすることも、会社への貢献になるんです。

 

実は働いている人には「自己保険義務」があります。法律上明文化はされていないのですが「労働者の健康は労働者自身みずからの健康状態に注意し、必要に応じて医療機関を受診する等して管理すべきである」という義務です。つまり個人でしっかり健康管理を行い、もし体調が悪い場合はしっかり病院にかかってくださいね、ということ。

 

逆に会社には「安全改良義務」という、労働者の安全や健康を守る義務があります。

会社が安全管理を怠っていると、労災認定がされるケースがあるのはご存知だと思います。でも働いている人が「自己保健義務」を怠っていた場合、労災訴訟で敗訴する可能性もあるんです。

なので、苦手かもしれませんが必ず「健康診断」は受けましょう!

 

ここで覚えておきたいのは「心や体の調子を崩すのが悪いのではなく、調子が悪いのを治さず働き続けることが良くない」ということです。

従業員は「体調が悪いので病院に行きたい」「調子が悪いので早退したい」ときちんと申請できて、会社はその申請に対して「しっかり治そう!」と応えられるのが理想的な「健康経営」の姿だと思っています。

ここで個人ワークとして、自分の1日の過ごし方や不安に思っている事を書き出すワークも行われました。

 

物事の捉え方を工夫する

ここからは個人でできるメンタルヘルス対策の2つ目「物事の捉え方を工夫する」についてです。

みなさんは仕事で辛いことや嫌なことがあった時に、どんな行動を取りますか?

この行動は人それぞれですよね。なかには「自分ができないのは相手が自分に具体的にわかりやすい形で指示していないから」「雇用形態や年齢、経験の浅さを理由に上手くいかない理由を相手や環境のせいにする」など「自分が悪くない」と考える人もいるかもしれません。

この考え方は「してもらう」ことが当たり前になっていることから生まれている可能性があります。

「自分は悪くない」と思いたい気持ちは、とてもよくわかります。でも、こう考えている人がチームにいると……どうでしょうか。「自己保身」や「他責」の考え方を押し通してしまうと、チームがうまく機能しないこともありそうですよね。

「自分の考え方はチームのためになるのか?」ということも、会社で働く上では大切な視点ではないでしょうか。

 

認められないのは『実力不足』かも

たとえば人から頼まれた仕事をした時、相手の言った通りに仕事をしたのに「なんか違うんだよね」なんて言われたことがありませんか?言われた通りに仕事をやって提出したはずなのにそう言われると「頑張ったのに評価してもらえなかった……」と落ち込んでしまいますよね。

「なんか違うんだよね」と言われてしまう要因は、自己評価と他者評価に開きがあることにあるかもしれません。

「自己評価」は、自分がどれだけ頑張ったかを主観的に評価すること。「他者評価」は、自分の行いを他の人が評価することをいいます。

 

樺沢 紫苑氏の著作『精神科医が教える ストレスフリー超大全 ―― 人生のあらゆる「悩み・不安・疲れ」をなくすためのリスト』の中では、心理学的に「自己評価」と「他者評価」の間には、20ポイントもの差があると紹介されています。

自己評価が高いため、他者評価を低く感じてしまうのだとか。実はこの「自己評価」は、能力の低い人ほど高いという恐ろしい傾向にあるそうです……。

自分の評価が低いと感じているなら、他者評価との間の差があるのかもしれません。

ここで個人ワークとして「最近あった嫌な出来事との向き合い方」について考えました。出来事と感情を分けて考えて、この二つを眺めて気づいたことを書き出すという「認知行動療法」を元にしたワークです。

これにより自分の感情を理解し、自分がどんな価値観を大切にしているのかを考えられました!

 


□組織のフォロワーシップコミュニケーションを考える

 

ここからはワークショップのもう一つのテーマである「フォロワーシップコミュニケーション」について考えてみましょう。

フォロワーシップコミュニケーションとは「指導者の役割とフォロワーの役割の相互作用によって形成される」コミュニケーションのこと。難しく感じるかもしれませんが、指導者は経営者や管理者・フォロワーは従業員と言い換えることができます。

「私はこう思う」「私はこうです」と発信するのは「個の尊重」ではなく「個を押し出す」コミュニケーションではないでしょうか。

フォロワーシップは「相互作用」によって形成されるものです。会社のように一緒に何かを作り上げる関係性として、個ばかりを押し出しすぎるのはちょっと違うかもしれませんよね。

 

相互作用ということは、お互いの信頼関係が大事です。最近の言葉では「心理的安全性」といわれています。これは立場を関係なく、安心して自分の意見を言い合える関係性を指します。

会社のなかで大事な信頼関係とは、自分の意見を主張するだけではなく相手の意見も聞ける関係性ではないでしょうか。

 

信頼関係を構築するには「言行一致」が大事

では信頼関係を築くためには何が必要でしょうか。

個人的に重要なのは「言行一致」だと思います。

「言行一致」とは、言っていることとやっていることが合っている状態です。やった結果が、言ったことと合っている人は信頼できるなと思いませんか?

似たような言葉である「有言実行」とは「これをやります!」とやるべきことを表明することなので、結果のことを指す「言行一致」とは少し違うかなと思います。

仕事でいう「言行一致」とはどんなことなのか。

この例のように言われたことをやるだけではなく、チームの人の仕事の状況を見て「早めに出してその後の作業時間を多めに作ってあげよう」と考えて行動する。その結果「Bさんは仕事が早くて助かる」という評価や信頼関係につながります。

このような行動が「言行一致」だと思っています。

 

言うのは簡単ですが、これをやるのは難しいですよね。だからといって「やらなくていい」ことにはならないと思っています。自分がお手本にしたいなと思う人から、少しずつ学んで実行するのが大事ではないでしょうか。

 

組織で目標に向かうためには「合理的配慮」の精神でサポート

ではここからは、チームとして信頼関係を構築していくために何が必要になるか考えてみましょう。

現在は「多様性の時代」「個の時代」といわれています。これは「1人ひとりが持つ個性を認める」という考え方ですが「私を・俺を認めて!」となってしまいがち。

重要なのは「自分はこうだけど、相手はどうだろうか?」「ここにいるみんなが気持ちよく仕事をするためにはどうすればいいのか?」に重きを置くことだと考えています。

この考え方の土台として、自分や相手の個性を理解することが必要です。

個性を理解するのに使えるツールの一つが「ストレングスファインダー」です。やったことがある人もいるのではないでしょうか?ストレングスファインダーは34の強みに分けて、自分にはどんな志向性があるのかを客観的に理解するものです。

私の場合、上位5つがこのようになっています。

  • 1位:学習欲
  • 2位:個別化
  • 3位:活発性
  • 4位:未来志向
  • 5位:最上志向

ただし強みは、メリットばかりをもたらすものではないんです。

強みは特徴が強すぎたり他の強みと組み合わせたりすることで、時に弱みにもなりかねません。

たとえば活発性×最上志向の場合「人や物事に対してすぐに見切りをつける」「判断が早すぎて、可能性を見逃しやすい」という弱みになる危険性も……実際に、20代後半はこの傾向で苦労した場面もありました(苦笑)。

強みや弱みを知ると、自分を客観的に見て「こういう考え方の癖があるから、こうしてみよう」と自分の行動を制御するヒントになります。

 

最後に、社会で働く上で大事な「合理的配慮」という考え方についてお伝えします。

これは「精神疾患で働けなくなってしまった方や何らかの事情で休職した方が、社会復帰する際に行われる配慮」のこと。障害のある人がない人と同じように平等に社会へ参加するためには、会社や教育機関も障害を持つ人自身も、お互いに配慮が必要です。

一般的には障害の有無でいわれる言葉ですが、たとえば子どもがいる方や精神疾患がある方にもとっても配慮が必要です。「ここはこちらで配慮するね」「ここまではやります」とお互いのできることや強みを理解すると、みんなが同じように安心して働けるようになるのではないでしょうか。

 


□まとめ

 

普段から自分の生活を見直して少しずつ改善することの大切さ、そして周りの個を大切にすることで、チームとしての信頼関係が構築されていくことを実感できた90分でした。

「メンタルヘルス」「フォロワーシップ」と聞くと難しく考えてしまいますが、朝のお散歩や周りの特性を理解して配慮するというすぐにできることもありました。

学んだことを活かせば、今所属しているチームや友人関係、さらには充実した生活にも繋がりそうですよね!

 

E CROSS PARKでは、今後もさまざまなテーマのワークショップを開催予定です。ぜひみなさまのご参加をお待ちしております!

次回のレポートもお楽しみに!