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WORKSHOP

【E CROSS TALK REPORTS vol.06】
ビジネスパーソン必見!提案書作成に必要な
ストーリー/スライドの技術

こんにちは!
今回は6月1日のワークショップ「提案書に必要なストーリー/スライドの技術」の内容を抜粋してお届けします。
講師は株式会社コムデの代表取締役、深嶋 利之が登壇。取締役でありながら現在でも営業としてクライアントへのプレゼンも行い、多くの案件を受託してきました。
そこで重要なのが「提案書」です。今まで培ってきた技術や経験を踏まえて、提案書に必要なストーリー作りやスライド作成の技術について講義を行いました。
ぜひ最後までご覧ください!

講師プロフィール

深嶋 利之

深嶋 利之(Toshiyuki Fukajima)

代表取締役

株式会社コムデ

株式会社コムデ 代表取締役
【20代の頃は営業会社で働く】
19歳でOA事業を行っている会社に入社。20歳で課の責任者に就任
25歳で仙台営業所の責任者に就任
【20代半ばWebに目覚める】
IT企業に転職、新規事業開発チームのマネージャーに就任し、 当時WordPressが無名だった頃にWordPressのパッケージサービスを作り、自ら営業と制作も行い1つの事業部として運営を行う。
26歳 新規事業開発チーム マネージャー就任
【29歳 会社設立】
ある程度の事業化ができると自信を持ち、株式会社コムデを設立


□提案書とは?

 

まずは提案書について考えてみましょう。
Wikipediaによると「自社や取引先の課題に対し、解決策や取り組むべき提案内容をまとめた資料です。提案書を採用するか否かは、提案先の決済者が内容を精査して判断します。」と書かれています。

ここで最も大事なのが「提案先の決済者が内容を精査する」ための資料であるという点。
つまり誰に対する資料なのかを理解し、ターゲットに合わせて作るのが大事なんです。

 


□誰に対して作る資料なのか考える

 

たとえば企業に提案する場合「今回の提案先は担当者がいます」というケースもあれば、部長や社長に提案するケースもあります。
「会社へ提案するのに、誰に提案するのか考える必要があるの?」と思われるかもしれません。
ですが実際のところ担当者・部長・社長、それぞれ提案に対しての考え方が違うんです。

社長に提案する場合は、メリットが訴求できていないと「費用対効果はどうなの?」「導入の価値はあるの?」と思われてしまいます。
部長に提案する場合は、会社によって部長権限で稟議を通せる金額が異なります。そのため、稟議が通る金額内で収まるのかを気にされる方が多い印象です。
担当者に提案する場合は業務の効率がどれくらい上がるのかや、導入によって自分の社内評価は上がるのかを気にする方が多いですね。

そういった社内の事情を踏まえての提案は、しっかりとヒアリングを行った上でターゲットを捉えていないと意味がありません。
提案書を作るために「誰に提案するのか」を考えるのは重要なポイントになります。

 


□散在する課題をまとめて「本質的に求めているもの」を見極める

 

もう一つ重要なのが「物事の優先度を考える」という点です。
多くの会社がそうですが、社内にはさまざまな課題や要望が散在しています。

実際に優先順位が高く解決すべき課題がこの赤だとしたら、課題に対しての提案をしなくてはいけません。
でも企業からもらうRFP(「Request for Proposal」の略で「提案依頼書」の意)では、青の要望部分も入っているケースが多いんです。
しかも自分たち自身では課題も要望も混ざっているのがわからず、RFPの内容がまとまっていない場合も……。

お客様には、提案を「メリット」として感じていただく必要性があるのです。
メリットを感じる提案のために、まずは課題の優先度を考えなくてはいけません。

だからこそ物事を整理し、優先度を考えることが非常に重要。
課題・要望の整理は、本質的にお客様が求めていることを見極める大事な作業です!

 


□求められた要望が課題の解決につながるとは限らない

 

とあるクライアントの例を紹介します。
そのお客様の最初の要望は「オンライン展示会を開きたいので、システム提案をしてほしい」というものでした。
しかし話を聞いていくと、本質的な課題が多く発覚。

  • 複数の団体や企業が登録しているのに、Webサイトで各企業の紹介がされていない
  • スマホ対応されていない
  • 年間データなどが正しく提供できていない

「展示会があれば何か変わるだろう」という考えのもとで相談されたのですが、これらを解決する方が先だと感じました。

そこで「Webサイトのリニューアルをして、登録されてる団体に向けて訴求する内容をまとめましょう」という提案をしたんです。
会社の紹介やデータの提示などをまとめた方がいいですよと提案したのですが、提案依頼書として書いてるものと全然違っていたため、断られてしまいました……。
しかし約1ヶ月後「やっぱり提案していただいてる内容は正しかったので、ぜひともリニューアルしたい」との返事をもらい、契約につながりました。

何が言いたいのかというと、お客様自身では「どこに課題があるのか」や「優先順位」を判断するのが難しいんです。
たとえ提案依頼書と違ったとしても、正しい道を導いてあげなきゃいけないときもあります。
このような提案は、お客様から非常に喜んでいただけました。

「お客様の要望を叶える」よりも、「本当に必要な課題解決方法を提案する」のが大事なのです。

 


提案ストーリーをつくる

 

課題・要望の整理をしたら、僕は大体「提案ストーリー」を作ります。
提案は提案書の提出だけではなく、対面でプレゼンをしながら行うケースがほとんど。
そのため提案ストーリーは「どんな流れで話すのか」「どんな流れなら魅力的に思うのか」を考えてつくりましょう。

ストーリー作りのポイント

  • 箇条書きでタイトルを洗い出す
  • 話す内容をメモ書きする

実際にはこのようにメモをとったり、洗い出しを行なっています。

お客さんの前でも、話を聴きながらメモや図を書いて整理しながら考えをまとめています。
メモを取りながら自分自身の考えを整理することが、提案書作りにも活きてくるんです。
またメモやタイトルの洗い出しをすると、提案書を作るのが早くなると思っています。

 


よく使う提案ストーリー

 

実際によく使うストーリーがこちらです。

1.与件の整理
まずは課題や要望に関して整理した内容を「与件の整理」という形でまとめます。

2.課題解決
次に与件の整理で出てきた課題に対して、解決策をリストアップしていきます。

3.具体的な解決策の説明(理由付けやもたらす効果など)
一つひとつリストアップしたものへ、具体的な説明を入れて解決策を提案していきます。

4.導入イメージ
弊社の場合は無形商材を売っているため、たとえばデザインやシステム設計についてのイメージを入れるようにしています。

5.プラス提案
この「プラス提案」がとても大事です。
お客さんから求められたことを、そのまま提案するっていうのは当たり前。
お客さんに対しては100%満足を提供するのではなく、150から200%の満足を提供するような心構えで作るのが非常に重要だと考えています。

6.スケジュール

7.体制・フロー

8.運用説明

9.会社概要・実績案内

プラスの提案以降は、スケジュールや体制などの必要な情報を入れています。

 


なぜこのストーリーがいいのか

 

なぜこのような流れをよく使うのかというと、同意を得やすく信頼度も上がるケースが多いからです。

1.与件の整理
この部分は相手の提案依頼書などをもとに作るため、確実に「Yes取り」ができるんです。
相手から一度同意を得られると、最初から否定されるよりもその後の提案を受け入れてもらいやすい。
そのため提案書の最初で、クライアントの要望を踏まえた「〇〇とおっしゃっていましたよね?」という確認を行って「Yes」を引き出します。
同意を得ていくストーリー作りの第一歩ともいえます!

2.課題解決
整理した与件に対し「今回はこういうふうにプラスに変えるんです!」と提案し、明るいビジョンを見せるのがポイント。
これも要望を押さえているので、同意をされやすくする流れになっています。

3.具体的な解決策の説明
課題解決策を提示するだけでは、具体的な効果やメリット、費用対効果の予測ができません。
そのため一つひとつに対して3C分析や裏付けなどを行い、提示します。
提案にしっかりとした根拠があると、クライアントも「いいね!」となりやすいんです。

4.導入イメージ

5.プラス提案
ここでは丁寧に導入後のイメージを提示して、付加価値や自社の優位性を打ち出します。
コンペの場合は特に、他社との差別化を見せるのが重要です。

6.スケジュール

7.体制・フロー

8.運用説明

9.会社概要・実績案内

社員に対してよく言っているのが「“このメールを送ったら、どんな質問がお客さんから来るのかな。”と考えて、その質問の回答も先回りしてメールに書きなさい」ということ。
提案書も同様に、お客様からくるであろう質問を先回りして考え、それも含めて提案します。
これを行うと「細かい部分までしっかりと提案してくれる会社なんだな」と思っていただけたり、信頼度が上がったりするんです。

よく提案書作りにおいて「文字が多い」=「悪い」と言われがちです。
僕はそうは思いません!
なぜなら「伝言ゲームが上手くいかないと稟議が通らない」から。
多くの場合、担当者から決済者に対して資料を回覧して稟議を通してもらいます。
資料が言葉足らずだと担当者が意図通りに説明できず、いい印象を持ってもらえない可能性が出てきてしまう。
そこで資料が独り歩きするように、説明がカバーできている必要があるのです。

誰が見ても同じメリットを感じられる資料作りを心がけましょう!
ただしプロダクトや企画の発表会で投影するスライドは、文字の多さは不要です。

 


提案書作成で気をつけること

 

ここからは提案書を作る上で気をつけることについてです。
提案書を作り慣れている人は、デザインテイストがキレイにまとまっている場合が多いのですが……。作り慣れていないと、段落が入っていたりページごとに体裁がバラバラだったりして、見づらい提案書になっている場合があります。
見ただけで不協和音が聞こえてくるような、見づらいスライドはやめましょう!

なぜかというと、キレイなスライドを作っていると「この会社に頼めば、いいものを作ってくれそう!」と思ってもらえるんです。
僕が提案書を作るうえで気をつけているのがこちらです。
1.ルールを作る
ルールとは言っても、簡単です。たとえばこんな提案書になっていませんか?

  • ページごとに左寄せ・中央寄せ・右寄せがバラバラ
  • 図形が四角・角丸・丸などバラバラ
  • タイトルや本文の配置がページによって異なる

これらは資料を見づらくする要因になってしまいます。
左寄せにすると決めたら、すべてのページで左寄せ。角丸にするなら、すべての画像を角丸にすると、提案書を作るルールを決めておきましょう。

2.文字サイズ/フォントの種類
たとえば本はタイトルが上に小さく書いてあり、見出しも同じフォントサイズで統一されていますよね。
ページが変わってもルールが統一されており、見やすい工夫が施されています。

  • 文字のサイズが統一されていない
  • フォントがページによって異なる
  • WindowsとMacで互換性のないフォントを使っている

これらは見づらい原因になります。
見出しはゴシック、本文は明朝で統一。フォントサイズも大見出し・中見出し・小見出し・本文それぞれで統一して、バラバラにならないようにしましょう。

3.視覚的(色・表現)
色に関しても同じことが言えます。

  • 使う色がバラバラ
  • 使う色数が多い
  • アクセシビリティ配慮がされていない

特に色数に関しては、できるだけ少なくシンプルにすると視覚的に分かりやすくまとまります。
また、アクセシビリティを意識した色を利用するのがおすすめです。

4.強調したい内容を目立たせる
すべてを同じ体裁にしてしまうと、見て欲しいところが目立たず読み流されてしまうかも。

読んでもらいたい箇所は、太字やフォント色を変えたり背景色を入れたりなど、強調することで目に止まりやすくなります。

5.RFPなどで利用されている言葉や、企業のMVVなどから引用
ここは僕がすごく意識している部分でもあります。

「RFP」はお客様が想いを込めて作っているもの。お客様が書いた言葉を“そのまま”利用するのが非常に重要です。
ときどきお客様が間違った言葉を使っているのを見かけるのですが……担当者を立てる上でも、そのまま使う場合が多いですよ。

 


もっとも必要なのは「この人と仕事がしたい」と思ってもらうこと

 

ここからは補足ですが、受注につながる重要な部分だと思っています。
もっとも重要なのは「提案とは営業」ということです!
営業なので必ず分母に人が来て、その上に価格や製品などの接点があって初めて受注につながります。
大事なのは「この人と仕事がしたい!」と思ってもらえるかどうかではないでしょうか。
もし人が気に入られれば「もう少し価格をなんとかできない?」というような相談がきますよね。
僕の場合は、お客様と仲良くなって「この人に任せたい」と思ってもらえるケースがとても多いんです。

お客様に「この人から何か物を買いたい」と思ってもらえたら強いと思います。

 


話法も大事

 

提案をわかりやすく魅力的に思ってもらうためには、話す言葉も重要です。
たとえば使っている「話法」には、こんなものがあります。

  • Yes取り:提案書作成の時にも伝えたように、お客さんから同意を引き出す
  • 断定話法:自信を持って言い切る話法。自信なさげな言葉や話し方よりも、お客様をワクワクさせられる
  • 第三者話法:「同じような業界の〇〇社でも取り入れていました」などの第三者的目線を取り入れて説得力を上げる
  • 両面提示:メリットだけではなくデメリットも訴求し「この会社ならきちんと付き合っていけそう」と思ってもらう

僕がテレアポをしていた時、電話口で正直に「営業です」と言っていました。
こんなことを言っては、すぐに切られそうと思いませんか?実は正直に言ってしまった方が、話を聞いてくれるケースが多かったんです。
同じように最初からメリットもデメリットも提示した結果、信頼関係が生まれた経験を多くしています。
ほかにも相手から否定的な言葉が来たら、一旦同調したあと接続詞を挟んで主張を返すテクニックも活用していました。
「そうですよね。ただ今回はこうなんですよ」と返し、お客様を直接否定しないことを心がけています。

 


きれいな資料・迅速な対応も重要!

 

提案書作りのポイントでもお話ししましたが、資料や見積もり、スケジュールなどがキレイで的確な点も大事です。
提案書のページ一つひとつがキレイだと、製品やサービスの品質が高い会社だと思ってもらえます。
逆に資料が整っていないと「ここの会社に頼んで大丈夫かな?」と思われる可能性もあるんです……。

迅速な対応も心がけましょう。
対応が早いと、対応力の高さを認識してもらえるはずです。
質問にはすぐ回答が鉄則!
この対応次第で「取引後もきちんと対応してくれそう」と、良い印象を持ってもらえます。

 


まとめ

 

ワークショップで得た知識から「提案書=営業」と考えると「どんな人に提案する資料なのか」「どうすれば伝わるか」の重要性が伝わってきます。
またつい適当に済ませてしまいがちな提案書の体裁を統一すると、会社への信頼感が増すことも理解できたのではないでしょうか。
ストーリーやルールを作っておけば、深嶋さんのように資料を素早く作れるかもしれません!
(今回の資料も、なんと30分ほどで作ったのだとか……!)

E CROSS PARKでは、今後もさまざまなテーマのワークショップを開催予定です。
ぜひみなさまのご参加をお待ちしております!
次回のレポートもお楽しみに!

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