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WORKSHOP

【E CROSS TALK REPORTS vol.03】
WEBプロジェクト成功のカギはココにある!プロジェクトマネージャの役割とスキル解説

こんにちは!
今回のE CROSS TALKは「プロジェクトマネージャー」という職種について、株式会社mountの吉田耕さんと株式会社MULTIPLEの平藤篤さんをお招きして深掘りしていきます。
Webサイト制作と聞くとエンジニアやデザイナーの印象が強く、プロジェクトマネージャーについてはあまりイメージが湧かないという方も多いのではないでしょうか?近年様々な分野で必要性の高まっているこの職種。変化する社会や時代を考えながら、その役割に迫ります。

講師プロフィール

吉田 耕

吉田 耕(Ko Yoshida)

プロジェクトマネージャー

mount inc.

就職難の折に中村勇吾氏など著名な制作者を排出しているウェブ制作プロダクションに勤務。以降プロジェクトマネージャーを名乗る。ウェブのみならず飲食事業、服飾事業、プロ野球など様々なジャンル、業務形態でプロジェクトマネジメントを経験。制作会社勤務の傍らプライベートワーク「黒い花屋」やプロジェクトの悩みをスポットで解決するサービス「toorun」の運営も行っている。

平藤 篤

平藤 篤(Atsushi Heito)

代表/Webディレクター/プランナー

MULTiPLE Inc.

1979年東京都生まれ。青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科(MBA)修了。青山学院大学学校教育法履修証明プログラム修了認定ワークショップデザイナー修了。明星大学デザイン学部デザイン学科非常勤講師。大学在学中にウェブ制作会社を起業。約12年間に渡り制作現場と会社経営を経験した後、独立。2016年に株式会社マルチプルを設立し、現在はPM,ディレクター,プランナーとして企業や団体のDX推進に携わる。


□プロジェクトとは?

 

普段からよく耳にする「プロジェクト」という言葉。使う機会も多いと思いますが、どんな意味を持っているのか隅々まで知っている人は少ないかもしれません。そこでPMについて知る前にまずは「プロジェクト」についてどのように定義されているか見てみましょう。

“プロジェクトとは、独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務である”
※「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)通称ピンボック」より

会社などの通常業務、継続的な運用管理、あるいは改善活動などは、特に開始と終了が定義されていないので、「プロジェクト」とは呼びません。ただし、特定の期限までに特定の建築を行う、製品を開発する、システムを構築する、などは個々のプロジェクトになり得ることがあります。

始まりと終わりのある有期のものが「プロジェクト」と呼ばれるのに対して、継続して終わりがないのが「ルーチンワーク」。プロジェクトは案件ごとに独自性があり新しいことを行いますが、ルーチンワークは経験したことのあることを繰り返し行います。挑戦的であるため安定的ではなく不確実性が高い、目標が変化しやすいという特徴があるのが「プロジェクト」です。

また、ルーチンワークの反復作業をより効率的に活用的に考えていくことをオペレーションと言います。既存の機能を活かして進化させていくイメージで、対して新規能力を開発していくのがプロジェクトです。

 


□プロジェクトマネジメントとは?

 

限られた期間と予算の中で決められた成果を達成することが求められるプロジェクト。

スムーズにプロジェクト進行を考える上で避けては通れないのが、

QCD(Quality:品質・Cost:予算・Delivery:納期)

そしてこの3つのバランスを取り、プロジェクトを滞り無く進行していくことがプロジェクトマネジメント(以下PM)と定義されます。

PMとしてプロジェクトを進行する際に最初に考えるのは「何が一番重要か」を決めるということ。実際にクライアントワークをしていると、少ない予算と納期の中でも高いクオリティを要求されたり、元々は1つだった要望や課題がどんどん膨れ上がっていったりすることはよくありますが、そんな時何が一番重要なのかを再確認し、優先順位をつけていくことがプロジェクトをスムーズに遂行するための鍵になります。クライアントが求めるプロジェクトの要求事項を満たすために、知識・スキル・ツール・技法をプロジェクト活動へ適切に当てはめること、またそうして方向性を定めてチームを牽引する舵取りのような役目もPMが担っています。

 


□PMを学ぶ

 

ここでPMを学ぶ上で欠かせない存在をご紹介します。

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)

プロジェクトマネジメントに関する知識やノウハウを体系的にまとめた参考書のようなもの。PMの世界的基準になっていて、これからPMについて勉強する人にとって必読の一冊です。

PMを学ぶ上でも実践においてもとても重宝するPMBOKですが、実際の現場、特にWeb業界に落とし込むのは皆さん一人一人の能力が問われます。

PMBOKは元々ロケット開発や石油インプラント開発等の大きなプロジェクトを行うにあたって作られたノウハウ。Web業界、そして皆さんが担当する一つ一つの案件でこのPMBOKを活かすには知識を噛み砕いて自分のものとしながらそれぞれの案件にローカライズする必要があるのです。

そこでここからはPMが求められている理由を業界と時代の変化を織り交ぜて考えてみましょう。

 


□Web業界にPMが求められる理由

 

PMという言葉に馴染みのない人もまだまだいるかも知れません。進化を続け、今では世の中に無くてはならない存在になったWeb業界で、なぜ今PMの必要性が高まっているのでしょうか。理由として挙げられるのは、

1. WEBサイトの複雑化
Webサイトの機能やコンテンツが増加するにつれ、プロジェクトの規模は大きくなり、複雑化していきます。それに伴い、プロジェクトの進行管理やチームのコミュニケーションがより重要になってきています。

2.品質管理の重視
Webサイトの品質に対する要求が高まり、Webサイトの品質管理がますます求められています。PMは、品質管理のためのプロセスや品質基準を策定し、品質の向上に取り組む必要があります。

3.ビジネス視点の重要性
Webサイトはビジネス上、重要な役割を担います。Webサイトの開発・運用にはビジネス的視点が求められ、PMはプロジェクトがビジネス目標を達成するために必要な施策を立案し、実行する役割に位置します。

4.チームマネジメントの重要性
Webサイトの制作には、デザイナーやエンジニア、ライターなど、多くのチームメンバーが関わります。スムーズに制作を進行するためにはそれぞれの役割を明確にし、チームメンバー間のコミュニケーションを円滑に、プロジェクトの成功に向けたチームマネジメントを行う必要があります。

Web業界の進化に応じてPMを行うことの必要性も高まり続けています。Webの役割は今や表面的な造形の制作に留まらず、そこからどうビジネスを発展させていくかという新たなツールになろうとしています。その進化を加速させるためにもPMがとても重要な役割を担っているのです。

 


□PMが必要とされる時代背景

 

近年では業界を問わずPMの重要性が見直されています。Web業界だけでなく、全体を通したPMの必要性を今の時代の動きを交えながら考えてみましょう。

現在は、「VUCA(ブーカ)」の時代と言われるように、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」のある社会情勢で、様々なものの変革期にあたると同時に、デジタルトランスフォーメーションでこれまでリアルだったものがDX化されるような時代になってきました。当たり前だったゲームのルールがいきなり変わるように、今も絶えず変化を続けています。

さらにプロジェクトの不確実性が高まっている時代背景として、これまでのPMは「この製品を無事に販売させるには?」「この工場で効率よく良い製品を作るには?」といったあくまで生産側視点の考え方でした。しかし価値観が多様化し、同じものを提供して満足する、経済効率を上げて大量生産大量消費する時代が終わりを迎えつつある今、オリジナリティのあるもの、ユーザーの求める本当の価値に見合うようなものを提供することのできる消費者側の視点にシフトチェンジすることが求められています。

時代の変革期である今、1つのプロジェクトを進行するにも環境や前提が頻繁に大きく変わってしまうことがあります。また、Webやスマートフォンの普及により世界中の情報がすぐに入手でき、個人の選択肢が大きく広がっています。そんな多様・不確実でありながらもそれを理解できる現在の社会に適した計画・実装方法を「Waterfall and Agile」と言います。

 


□Waterfall and Agile

 

従来のウォーターフォール型のソフトウェア開発では、生産性高く開発するために、開発初期に要求の固定を図ります。しかし、環境が刻々と変化している場面では、要求を固定すること自体が製品やサービスの販売リスクを拡大してしまう場合や、技術リスクが大きく実際に作ってみないとそのリスクを解消できないことも。

こういった状況が時代の変化とともに増えたことで、反復する短い期間単位(イテレーション)のサイクルを継続して機能を追加、適応的に開発する手法である「アジャイル型開発」が注目されています。

柔軟に要望の変化に対応出来るプロジェクトには、制作陣のコミュニケーションや共通認識化、適切な優先順位をつけることが必須ですが、PMがその役割を担うことで安定的な制作が実現するのです。

 

 


Web業界が進化を続ける中でその役割に注目が集まってきたプロジェクトマネージャー。規模の大きいプロジェクトや新たな技術を駆使したプロジェクトを円滑に遂行することで、業界の発展を後押しする存在にもなってきていることがわかりました。

今回は必要性を再認識させたPMの背景を紐解きながら、今の時代との関係性を考えていきました。今後ますます発展を続けるであろうWeb業界にどのような効果をもたらすのか楽しみですね。

次回もお楽しみに!

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