E note
【E CROSS TALK REPORTS vol.20】デザイナー・エンジニアを目指すあなたへ
未経験からWeb業界で活躍するマインドセット
〜AIで進化する業界のイマとミライ〜
こんにちは!
今回は3月21日のワークショップ「【E CROSS TALK vol.20】デザイナー・エンジニアを目指すあなたへ未経験からWeb業界で活躍するマインドセット〜AIで進化する業界のイマとミライ〜」の内容を抜粋してお届けします。
これからWeb業界で活躍しようと思うと、避けて通れないのがAIの存在。
AIを活用していくスキルが今後必須となっていく今、デザイナーやエンジニアを目指す人にとっては「業界の今はどんな働き方なのだろう?」「これから先業界はどうなっていくのだろう?」と不安に思う方も多いはずです。
また就職の際「本当に求められている人材はどのような人なのか?」というのも気になるところですよね。
そこで今回は、現在のWeb業界で「職業訓練校の運営・講師」「転職サポート」「経営者」「未経験からの転職者」という、それぞれの視点で業界の現在とこれから求められる人材についてお話しいただきました。
質問にたっぷり答えていただいた90分のレポートです!
講師プロフィール
一ノ渡 さやか(Sayaka Ichinowatari)
キャリアバンク株式会社
コーポレートデザイン事業部 人材紹介事業 主任
札幌出身。小樽商科大学卒業後、総合人材サービス会社のアウトプレースメント部門、外資系企業のHR、札幌の第三セクター、フリーランスなど多様な企業文化や働き方を経験。 2019年にキャリアバンク株式会社へ入社し、エージェントとしてIT企業を中心に採用支援を行っている。 IT特化型転職支援サービス「Do!T(ドゥイット)」の立ち上げやテックイベント「Salon Do!T(サロン ドゥイット)」の企画運営も担当。 SNS: X
川田 祐輔(Yusuke Kawata)
WSS 学校長札幌出身。 東京造形大学でデザインを学び、他業種を経験した後、東日本大震災を機に札幌へ帰郷。 Web制作会社でWeb制作業務に携わった後、フリーランスとしてデザイン、Web制作業務を行う。 ベトナムの日系インテリアデザイン会社に転職、現地でマネージメント職を経験。 2018年に、株式会社ネクストワンに入社、学校長として職業訓練校WSS(ウェブスタディサッポロ)を運営。
深嶋 利之(Toshiyuki Fukajima)
株式会社コムデ 代表取締役【20代の頃は営業会社で働く】
19歳でOA事業を行っている会社に入社。20歳で課の責任者に就任
25歳で仙台営業所の責任者に就任
【20代半ばWebに目覚める】
IT企業に転職、新規事業開発チームのマネージャーに就任し、当時WordPressが無名だった頃にWordPressのパッケージサービスを作り、自ら営業と制作も行い1つの事業部として運営を行う。
26歳 新規事業開発チーム マネージャー就任
【29歳 会社設立】
ある程度の事業化ができると自信を持ち、株式会社コムデを設立
SNS: X
髙橋 早苗(Sanae Takahashi)
株式会社コムデ E STUDY 講師千葉県出身。 札幌移住後フリーランスでWeb構築業務に携わる。 札幌の求職者支援訓練校にて講師経験を積み、現在株式会社コムデE STUDYにてWebデザイン科の講師を担当。
やっぱり気になる「AI」の影響について
まずはそれぞれから自己紹介をいただいた後、QA方式で「業界やAIについての考え方について」お話しいただきました。
また、急遽「未経験からの転職者」という立場から、株式会社コムデの松岡 京子氏も参加。松岡氏はWebデザインの現場でエンジニアとして活躍しており、もともとは別業界から未経験で転職をした経緯があります。今回は松岡氏も含めた5名で質問に答えていくことになりました。
Q.1:AIの進化による脅威と機会について
川田氏
AIによって今のビジネスのあり方はやっぱり変わってくると思っています。ただし、今業界を目指しているみなさんは「ラッキー」です!
これから変わりつつある中で就職できれば、今後AIを使って仕事を管理していく立場になれるはずです。深嶋さんとも話していましたが、AIが入ってきて仕事の形が変わっても「人と人がビジネスをする」のは変わらないんですよね。
AIが進化しても、AIに指示をする人は必要になります。本質的に「お客さんから頼まれて、課題を解決していく」という仕事の根幹は変わりません。
みなさんには、AIに仕事を奪われない、もしくは「AIがあって便利だな」と言えるようなポジションになってもらいたいと思っています。
一ノ渡氏
メディアなどで「AIが人の仕事を奪う」という話はよく見聞きするため、不安に思う人がいるかもしれません。結論、人間がいらなくなるかというと、私はそんなことはないと思っています。
ただ、これまであった仕事の中の一部分っていうのは確かになくなります。そのなくなった分は、仕事の内容が変わっていくと思うんです。AIが出てきている現在の状況は、規模感は違えどExcel・Word・Power Pointが出てきた時と似ているんじゃないかなと捉えています。
それまで事務員さんが手で請求書を起こしていましたが、Microsoft Officeが出てきたからといって事務員さんがいらなくなるかっていうと、そんなことはないですよね。請求書なり何かを書き起こす仕事はなくなるけれど、事務員さんもMicrosoft Officeの使い方を覚えてExcelで請求書を出していく。つまり、仕事の内容が変わっていくんです。
みなさんが今学んでいる内容も「AIの登場に合わせて使い方が変わっていく」というふうに捉えるといいのではないでしょうか。
高橋氏
今登場しているAIが得意なことは「データベースがある状態から、いい感じのものをいい感じの状態で出してくれる」ということだと思います。この中に人間が得意とする「創造」「思考する」っていうところがありません。
これからは、AIができない・苦手なことを人間が担っていくのではないでしょうか。
AIが苦手な「思考する」ということは、どんな仕事にも共通して重要なこと。形は変われど、人間の仕事は尽きないのだと思います。
ただこの業界は特に、手法の移り変わりが激しいです。常に新しい情報を積極的に取るのは必要なんじゃないかなと思っています。
松岡氏
私は「Chat GPT-4」という、月額3,000円くらいかかるAIをほぼ毎日仕事で使っています。このような有料ツールであっても正直「補助」でしかなく、自分の仕事の代わりになるほどではないというのが実感です。
1年後2年後どうなっているかはわかりませんが、今就職活動を行う人の「目指している仕事」を奪うほどの能力は持ってないと感じています。
というのも、今のAIは違った情報を出すことも多いんです!コードをつくってもらっても、正しいコードかどうかを判断するのは人間。正しい判断をするためには、知識は必須となります。
さらに、質問をするにも技術(プロンプト技術)が必要です。たとえばグーグルなどの検索。出てきた当時は検索精度が低かったため、上手な検索方法や検索をするための知識が必要でした。
いずれ誰がどう聞いても正確な答えが返ってくるようになると思いますが、現状すぐに仕事がなくなることはないかなと思っています。
深嶋氏
少し違った視点で、AIが脅威になるという部分で考えると「人間の思考の欠落」があるのではないでしょうか。考えることがAIに任されるようになると、人間が考えなくなったり、すぐにAIに聞くようになったりしてしまいます。
AIによってなくなる仕事もあるが、すべての仕事がなくなるわけではありません。ただ思考力が欠落すると、目的意識がなくなってしまう危険性がある。
本質的なパーパスを見られるのであれば、自分がやらなきゃいけないこと・今やっていることが明確になり、AIも活用できる素晴らしい人だけが残るのではないかと考えています。
この世の中は「誰かのニーズに応えられるか?」でまわっています。AIにしろExcel・Wordにしても、いかに人間の作業を簡略化するか?というところから生まれていますよね。一度顧客が求めるニーズを叶えると、それが市場のニーズになるんです。
日本はどんどん労働生産人口が減っていますから、仕事においての自動化が必要です。つまりAIの活躍は今後必須となっていきます。ただしあくまでAIは「手段」でしかありません。
たとえばAIはデザインをつくれても、そのデザインのコンセプトを説明できないはずです。この「顧客のために何ができるか?」と考えられるのが、AIに負けないためにも重要だと思います。
Q.2:Web業界の職種でこれから求められるものや、なくなっていくものはなんだと思いますか?
川田氏
これからは「管理する仕事」が求められるのではないかと考えています。
実際に手を動かす部分は、AIの発展やAIへの指示の出し方で精度が上がっていくはずです。そこでAIを使っていく時に必要になってくるのが、管理する側。プロンプトエンジニアリングのようなオペレーター業務に携わる人が増えていくのではないでしょうか。
仕事は人と人との接点が必要なので、マネジメント部分(ディレクター、PM、アートディレクターなど)ができる職種が、この先どんどん求められるのかなと思います。
逆にいえば、単純に制作するだけの仕事は、もしかすると将来的にどんどん「AIを操作する人」に変わっていくかもしれませんね。
深嶋氏
つまり「上流の仕事」が残っていくということですね。
一ノ渡氏
私は現時点で求められているのは「自分で手を動かせる人」だと考えています。また今後どんな職種が残るかと考えた時に、職種名が変わるか各職種の業務内容の定義が変わるのではないかなと思うんです。たとえばプログラマーやコーダー、デザイナーなどは、AIを使うっていうことが前提になってくると思います。
強いていうならAIは分析が得意なので、分析を行う「データアナリスト」はなくなっていくかもしれません。ここに関しても、数字を拾ってくるだけではなく「出てきた数字から提案を考える」「なぜそのデータに至ったのかの目に見えない部分を導く」ことなどは、人間しかできないこと。アナリストの定義が変わっていくのではないでしょうか。
同じように上流の仕事は重要度が高くなり、基本の仕事はマイナーチェンジになっていくのでは?と考えています。
松岡氏
私は、何か与えられた職種や目指した職種以外のことも、全体を見てできる人材が求められるのではないか?と感じています。コーダーだからコーディングしかしない、ではなく、デザインの知識も必要になってくるはずです。
だからこそ積極的に学ぶ姿勢が重要になるはず。「これができる人が求められる!」というよりも、いろんなことができる人が求められるようになると思います。
就職活動の段階から重要なのが「ビジョン」!
つづいて話題にあがったのは、就職で有利な人材や就職前に考えておくべきことについての質問。今就職活動をしている方にとっては気になる話題ですよね。
Q.3:今現場で活躍している人が、就職する前に取り組んでいたことはどんなこと?
高橋氏
私が職業訓練校の講師としてやってきて、実際に目指す業界に行ける方は、職業訓練校の中でも半数以下なんです。
目指す業界に行けた方を見てみると「自分なりにしっかり計画を立てる」という特徴があります。また自主的に「どういうことを勉強すればいいか」を聞いてきてくれる方も多いです。そのような方には「基礎的な部分をやった上で、トレンドの情報をキャッチアップすべき」と伝えています。
加えて自分の作品づくりをコツコツできる人は、目指す業界に行きやすいですね。
川田氏
たしかに、私も「明確に自分のやりたいこと・目標をもって前に進んでいる人」が目指す業界に就いていると思います。
目標がないと熱量は出てこないですよね。「こうなりたい」→「実現するためにはこれをやる」という、具体的なビジョンを持つことが大事なんです。
ではビジョンを達成するために何をするのか。この方法は色々あります。もちろん、勉強するのも手段の一つです。将来のことを想像して「3年後こうしていたい」「10年後こうなっていたい」などを明確にしていくと、今やらなければいけない課題が見えてくると思います。
深嶋氏
「ビジョンを持つ」ということは、取り組みとして授業で行っているんですか?
川田氏
まだ授業の中の仕組みとしてできてはいないのですが……そういう部分の教育も今後提供できたらなと思っています。
深嶋氏
弊社でもビジョンをつくって「3年後に各事業部がどうなっているのか」「そのために今年は何をしなきゃいけないのか」と言う行動(=バリュー)をいかに具体化するかには取り組んでいます。
川田さんが言ったように、1年後・3年後どうなっているかを考え、そのために必要な力をつけるのは大事なことだと思います。私自身も中学校の時から「社長になる」と決めていて「そのためには営業力をつけなきゃ」といった“自分のやらなきゃいけないこと”を明確化していました。
単純に「今、自分自身がやりたい」という気持ちだけで動いていると、目先の問題になってしまい長続きはしないと思います。
川田氏
今「1年後・3年後のビジョン」を持っていないようでは、みなさん多分採用されません。
会社は働いてお金をもらう場所ではなく、売上や利益を出さなければいけない場所です。
だからこそ自分の武器やビジョンが明確で、「この会社でこういうふうに自分のビジョンを達成しながら売り上げを立てます」と提案できる人でなければ、企業は採用したくないはずですよね。
深嶋氏
私も面接で、必ず「ビジョン」を聞きます。というかビジョンを聞かないと、その人の価値がどこにあるのかがわからない。
ちなみに一ノ渡さんに聞きたいのですが、今まで紹介してきた人で「すごいいろいろやっているな」と感じた人はいますか?
一ノ渡氏
パッと思いつくのは、実務経験はあまりないものの、ビジョンはかなり明確だった若い方。
その方はフロントエンドエンジニアを目指していて「仕事の中でこの技術を極めていきたい」「フロントエンドエンジニアとして自分はこの部分が未熟なので、そこを埋めながら色々チャレンジしていきたい」など、ビジョンも課題もわかりやすかったんです。それが書類にもよく表れていましたね。
どのくらい熱量・本気度があるかは、書類から見えるものがあるんです。
深嶋氏
ビジョンがないと挑戦はしないんですよね。ビジョンがあれば、自分に負荷をかけて「ここまで頑張らなきゃ」と思える。成長をするためにも、ビジョンは重要です!
Q.4:就職活動の際の面接やポートフォリオ、レジュメなどですごかったものはありますか?
一ノ渡氏
面接やレジュメは、自分の意欲を伝えるのはもちろん、先ほどお2人もおっしゃっていた通り「自分はどういう武器を持っていて、それによってその企業にどういうふうに貢献できるのか」「売り上げに役立てるのか」という切り口でも話すのが必要となります。
これからIT業界に入りたい方にありがちなのは、自分の夢ややりたいことに寄ってしまうこと。
企業の方は、未経験からこの業界を目指す方たちに意欲があるのは承知しています。本当に聞きたいのは「どのくらい本気ですか」「具体的にどんなことをしてくれますか」という部分です。そのため面接では、意欲と自分ができることをセットで話すといいですよ。
それが伝わるようなレジュメをつくり、面接まで進める書類を準備するのが大事です。
同時にポートフォリオも用意すると思いますが、よほど意識してつくらない限り「自分のつくりたいもの」を載せてしまいがちです。ポートフォリオに関しても「こういうことができますよ」「こういうことがしたいですよ」をセットで載せるのが◎。
必ず伝えているのは「クライアントワークを意識してつくりましょう」ということです。「こんなことを見てほしい」ベースでつくってしまうと、UI的に不便なサイトができてしまいます。
どんなクライアントを意識して、どんなターゲットのためにつくっているものなのかを意識すると、できる限りクライアント像を細かく考えていくはずです。
たとえばカフェのLPをつくるとしたら、単におしゃれなものではダメ。そのカフェはどういうお客さんに来てほしいのか、年齢層はどのくらいなのか。学生さんとか若い方に来ていただいてSNS映えをしたいのか、それとも地元のコミュニティの中で、おじいちゃんおばあちゃんとかに愛されるカフェになりたいのか……などを考えると、サイトに反映されるはずです。
なぜクライアントワークを意識すべきかというと、企業の方であれば「職業訓練校を卒業したなら、これくらいのスキルは持っているだろう」という目安がついているはずなんです。
その上で「制作物を見る側への配慮がどれだけされているのか?」は、ポートフォリオなどからしっかり見ています。「使う人がいる」「見る人がいる」という部分を意識してつくりましょう!
川田氏
書類では自分の武器をしっかりと伝えるのが大事。この「伝える」というのも、ひとつのスキル。練習が必要です。
ポートフォリオについては、面接に行くための道具でしかありません。
企業の方にとって、未経験者は「使える人材」とは思っていないんですよね。でも「この人ポートフォリオで気になることをやっているから、ちょっと話を聞いて面接してみようか」と次のステップに進むことはできる。
ただし、付け焼き刃でどうにかなるものではないです!しっかりと勉強と準備をしていかないとバレますよ。
高橋氏
ポートフォリオに関してですが「時間をかければいいものができる」というわけではありません。重要なのは川田さんも言ったように、ポートフォリオを見て「面接したい」と思わせることです。
載せる作品一つひとつは、仕事ベースで考えるべきですし、自分らしさをポートフォリオを通じて出せるのがベストですね。
深嶋氏
企業目線で考えると、履歴書・ポートフォリオは必ず見ます。ポートフォリオでは、たとえばレイアウトが崩れているといった中途半端なものはまず落としますね。
その上で何を見ているかというと、一ノ渡さんが先ほど言っていた「コンセプト」「想い」という部分と、どれだけ会社の収益性につながるのかという部分。
3ヶ月も半年も経っても、プロフェッショナルとして収益性がない社員を雇うわけにはいかないし、ずっと赤字社員を入れて会社がどんどんマイナスになっていくのは避けなくてはいけません。
会社で働いている時点でプロ。収益がたたないと意味がないし、厳しいことを言うと会社にいる意味がない、いないのと同然です。そういった部分を見つめて、入れるのかどうかを判断しています。
川田氏
その視点がなきゃ終わりですよね。
深嶋氏
会社はボランティアでやっているわけではありません。
よくいらっしゃるのは、いつまでも自分に初心者マークをつけたがる方。「未経験なので」「未経験だから」と甘えている方がいます。本当は、未経験だからこそ自分に投資する時間をつくるべき。その覚悟がないとこの業界はやっていけないです。
IT業界は常に情報やトレンドが変わっていくし、自分からキャッチアップしていかなければいけません。大変なことではありますが、それを楽しんでできるか・ポジティブでいられるかどうかは重要です。
「ビジョン」があれば、勉強にもポジティブに取り組めるはず!
Q.5:即採用になる人の共通点を一言で!
一ノ渡氏
ひと言でいうと「ハングリー精神のある方」。何かに対して本気で追い求めていく姿勢が見える方は、採用がいくつも出る傾向にありますね。
川田氏
職業訓練生というところでいえば「成果」。半年間で何を残せたか?何をやってきたのか?それが結果として出せている方は採用が決まりやすいと感じます。
高橋氏
「目指すところが明確で、そこを諦めない人」ですね。
明確に目標があり「絶対これになりたい」という想いが強い人は、結果的に望んだ就職先が決まることが多いと思います。
仕事を始めてからも学び続けることが重要
ここからは入社後に活躍する人材について話題が及びました。
Q.6:この業界はどんな人が向いていると思いますか?
高橋氏
どんな仕事でもそうですが「物事を柔軟に捉えられる」のは大事なこと。
特に流れの早い業界だからこそ「これまではこうだったけれど、今は全然違うよね」という部分をポジティブに捉え、次に何ができるかを考えられる人が向いていると思いますね。
川田氏
自分が今やっていることを好きなことだと思います。
「好きこそ物の上手なれ」ではないですが、好きなら本当に上手くなるんですよね。仕事をしていると、好きじゃないことや辛いこともあります。でもそれすらも楽しめると、あとは突き詰めればいいだけ。
もし楽しくないと感じても「どうやったら楽しくなるかな」と考えられる人が向いていますね。
一ノ渡氏
「触りたがる人」でしょうか。この業界で活躍されている人は、新しいツールやソフトを「とりあえず触ってみた」っていう方が非常に多いんです。
Chat GPTが出てきた時もそうでした。「もしかしたら自分の実務には関係ないかもしれない」と思うツールであっても「新しいものが気になるから無料版を入れて触ってみよう」という人が多い。その好奇心とフットワークの軽さがすごく活きる業界だと思います。
深嶋氏
先ほどもお伝えしましたが「ポジティブさ」は重要です。仕事はつらいし大変。けれどつらさも楽しまなければいけないんですよね。
僕も過去に何回もつらい経験をして、1週間家に帰れないときもあって、もうきついなと思ったんですけど、でもそれを楽しんでやっていましたね。
Q.7:業界に入った先輩は、今どのようにキャリアを積んでいるのか?
松岡氏
キャリアアップの流れとして弊社では、最初に先輩の下へついて、先輩が担当している案件のヘルプのような立場で携わります。たとえばトップページは先輩がつくり、下層ページを担当するといった感じでしょうか。
ある程度それで力がついたら、次に小規模な案件をメインで担当するようになります。そこから徐々に、案件の規模が大きいものを担当するように。その頃には後輩も入ってきているので、後輩を含めたチームをリーダーとして動かしていく立場になっていきます。これくらいになると、実際に手を動かすことは減っていきますね。
徐々に上の立場へなるにつれて、見え方や悩みも変わります。
深嶋氏
上の立場になったら、後輩が成長できるように忙しくさせないといけない側面もあると思っています。きつい仕事を経験させないと、人は成長できないんです。
会社は社員を「ほかの会社に行っても通用するような人」へ育てないといけない。社会に貢献できる人材を教育するのも、会社の大きな役割だと思っています。
Q.8:仕事に取り組む上で重要なことは?
高橋氏
俯瞰してみることが大事です。
目の前の仕事を一生懸命やるだけではなく、周りを見る・全体を見ると自分の仕事が見えてきます。また俯瞰してみることで、仕事をどのようにコントロールしていけば目標を達成できるかが見えてくるはずです。
松岡氏
「一つひとつの仕事へ目的をしっかり持つ」のが一番重要だと考えています。正直、入社したときはできていませんでした……。
たとえば「Webサイトをつくる」っていうのは、つくることが目的ではありません。その先に何かお客様の目的が必ずあるはずなんです。
何のために自分が今手を動かしているのかわかっていないと、よりよくするための議論や提案も生まれません。だからこそ、目的が何かを明確にするのは大事だと感じます。
一ノ渡氏
「周りからのフィードバックをできるだけ素直に受け止めること」です。これは新人の方でもベテランの方でも、変わらず大事なことだと思います。
忙しいときとか疲れているときだと、素直に受け止められないときもあるんですが……人からもらう意見は、自分にない視点だったり、見落としていることだったりすることも多いです。
意見をもらったら、一旦「そういう部分があったかもしれないな」とできるだけ素直に吸収はするようにしています。
深嶋氏
仕事に取り組む上で重要なことっていうのは「謙虚で素直な気持ち」だと思っています。
川田氏
何度かお伝えしましたが、仕事は人と人が関わらないと生まれないものです。人と関わるからこそ、真摯に取り組むことが大事だと思います。
深嶋氏
この業界に入ると、クライアントの文句を言う人が多いんですよ。
たしかにすごい量の課題を出してくるクライアントもいるんですが、それは自分たちがクライアントとの合意形成が取れていないだけ。そこは問題じゃなくて、しっかりと謙虚に素直に、自責の問題でどう考えるかが大事です。
他責、要は「人のせいにする」っていうのが一番よくないですね。
Q.9:就職する前に身につけておけばよかったと思う技術や勉強はありますか?
松岡氏
実は、パソコン自体の操作かもしれません。職業訓練校では、HTMLやCSSの整理とか基本的なところは学ぶはず。
それ以外の、たとえばショートカットキーや、企業でも頻繁に使うGoogle系のツール(ドライブやドキュメント、スプレットシートなど)は、自分で使っておくと入社の時点からアドバンテージがあるのでいいと思います。
Q.10:就職が決まらない人の共通点はありますか?
一ノ渡氏
「本当に本気なのか?」がふんわりしている方は決まりにくいと思いますね……。
これからIT業界にチャレンジされるみなさんに知っておいていただきたいのが、札幌市内のIT企業さんは、一時期未経験の方を何人も受け入れていたんです。ところが、ついてこれなくて数ヶ月で退職されてしまった……というような、何かしらの苦い思いをされている。この経験から、企業側も未経験者の採用が怖く感じています。
入社した後に「モチベーションを保ち続けてくれるかな」という不安を払拭するために、面接でも質問をしています。その不安を解消するように、明確に答えてくれるとすごく安心できるんです。
ただ「やりたいです!」だけではなく、「何を武器にできるか」や、やりたいと思った根拠を明確にできるといいですね。たとえばIT業界に興味を持ったきっかけのエピソードトークといった、あなただけの具体的な話があるといいですよ。
深嶋氏
採用が怖いっていうのは、すごくわかります。面接ではよかったのに、入社した途端に全然変わってしまったという経験は過去にもあるので……。
Q.11:最後にみなさんへメッセージを!
深嶋氏
この業界にこれから入りたいと思って今勉強されてると思うんですけど、一番重要なのは「ビジョンを明確させること」。これは仕事だけではなく、自分の人生や夫婦生活などでも大事な視点です。
ビジョンが明確になれば、その達成するためにどうやって行動するか。その行動をいかに具体化させるかを考えられます。行動を具体化できれば習慣になり、自分のやりたいことが実現できるはずです!
川田氏
みなさんは、これからWeb業界を目指すために学習していると思いますが、人生は一度きり!勉強をしている時間は、みなさんが選んだ結果だと思います。
自分の人生は誰も責任とってくれないから、後悔がないようにしてください。「学校が教えてくれるから」「企業が採用してくれない」などではないはず。何事も自分で勝ち取るもの!
常に自分が、自分の人生の中で輝けるように頑張っていただけたらなと思っています。
一ノ渡氏
これだけさまざまな情報があり仕事があるなかで、挑戦したいって思えることが見つかったっていうのが、まずはすごいことです!
実際に転職活動をしていくなかで、なかなかうまくいかないことやつらいことが何かしら出てくるはずです。そんな時も、ぜひ初心やご自身の気持ちを大事にしてほしいと思います。
もし転職を考える際には、ぜひキャリアバンクにお声がけください!また、今日のオフ会のような場所で横のつながりをつくり、仲間を増やすのも大事ですよ。
深嶋氏
弊社には、行動理念となる「アクションブック」というものがあります。その中で「知識がない人ほど、仕事が楽しめない」ということを書きました。
仕事を楽しむためにも、学び続けるのが重要です!
今勉強していることは、覚えたてで楽しいかもしれません。でもプロになったら、お金を稼がなくてはいけないし仕事に追われてしまいます。そんな時にでも楽しめるのは知識がある人。先に苦しい想いをしている人は、必ず後々楽しいとか、楽をする人が多いんです。
だからこそ、今自分自身の人生に投資をしていただきたいなと思っています!
□まとめ
「業界のリアルな声」ということで、厳しい意見や現状、札幌の就職についても言及があった今回。キレイゴトだけではなく“今必要とされていること”、そして“これから必要とされること”まで学べた大充実の時間となりました。
また、これから目指していく先だけではなく、ビジョンを描くことの重要性をひしひしと感じた90分でした。
E CROSS PARKでは、今後もさまざまなテーマのワークショップを開催予定です。
ぜひみなさまのご参加をお待ちしております!
次回のレポートもお楽しみに!